「…っ、あ!」
九郎が俺の腕の中で果てた。欲望が具現化した白濁、とでも言えば大層聞こえが良いが(そうでもないか?)、実際はべとべとで余り良い匂いのしないそれを、九郎が自分の腹にぶち撒けた。俺は、九郎の中に、ぶち撒けた。ひゅう、と喉を鳴らす様に小さく九郎が吐息して、そして胸を上下させながら荒く荒く呼吸をする。酸素を求める様に、まるで戦の後の様に。
「…はー、…お疲れ、九郎」
「うるさいっ」
減らず口はこんな時でも健在。はん、と俺は笑って九郎の中から、萎えてしまった自分の分身を抜き取る。ん、と鼻を鳴らして、その感覚に九郎が震えた。こいつはそういう仕種がいちいち可愛くて艶めかしいって事に気付いてないんだろうか。…気付いていないんだろう、多分。いつでもそうだから。九郎は、恐らくはだるくなっているだろう体を無理矢理引きずる様に起こして、乱れた着物をいそいそと着込んだ。肌を隠す様に。
(うーん、恥ずかしいんだろうなあ。)
九郎は、肌を見せるのを極端に嫌がる。嫌がって、恥ずかしがる。羞恥から来ているらしいそれを態と指摘してみたりもするが、まあ、そうすると不機嫌になるのであまりしない。不機嫌になる姿も可愛いけど、触らせてくれないのは惜しい。だから殆ど着物を脱がさないで事に及ぶのだが、そうすると九郎は、終わればしっかりと直す。勿体ないと、何度思ったことか。
「くろー。俺、もうちょっとお前の裸が見たいなあとか」
「はぁ?!冗談も程々にしろよ、将臣。…俺はもう寝るぞっ」
「ああ、うん。俺も一緒に寝るから」
そう言って、九郎の隣に横になる。…九郎は今の会話でまた機嫌を悪くしたのか、こちらに背を向けてしまった。失敗だった。いや、失敗というか、軽率だった。本音なのだが、これでも。だが、嫌と言われるものを何度もする程俺も無粋じゃない。それでなくても、セックス中は我が儘を聞いて貰っている様なものなのだ。これ以上求めるのは無いものねだりの欲張りだろう。我慢するしか、ない。…いや、もう少し柔らかくなってくれてもいいよなーとは思うんだけど。まあ、しょうがない、しょうがないと。俺はいつも自分に言い聞かせるハメになる。

(こうやって妥協している辺り、俺はもう、こいつを甘やかしているんだろう。結局。)










ないものねだり






















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