「…ッ、は、ン、」
この腕で彼を抱きしめる事は許されていない。この喉で愛を囁く事は許されていない。この体で彼を拒む事は許されていない。この心で彼を愛する事は許されていない。ただ、この身にその情愛を受けるだけ。
男の性器は決して甘くも旨くも無い。ただ、その独特の苦みと臭みが味覚と嗅覚を刺激して、吐き気がこみ上げる。自分が例えば性に支配された生き物であれば、それを美味とでも思えるかも知れないが、生憎と自分は理性に支配された生き物だ。れろ、と舐めた舌を口に戻すと、蜜(と呼ぶには甘さが足りない。これを考え出した者は大した想像力だ。)が糸を引いた。呼吸が苦しくなって、一度酸素を取り入れる。その瞬間、髪を掴まれた。強く上へ引っ張られて、不機嫌な顔が見つめてくる。
「誰が止めて良いと言った?」
「……申し訳、ありません」
素直に謝れば、彼はフンと鼻を鳴らして髪を解放する。けれどその手は肘置きへ戻る事無く、私の後頭部を抑えた。そのまま、無理矢理に性器を口の中へ押し込まれる。苦しくて、嫌な声が喉の奥から零れた。泡が溢れてくるような声。けれどそのまま何もしなければ、また彼の機嫌を損ねる。仕方なく、口の中でその性器を愛撫してやる。唇で擦る様にして、舌で先端を擽る。彼が、震えた。私の様な下手な口淫でも感じるらしい。私は理性に支配された生き物だが、彼は性に支配された生き物だ。そんな事を思考の片隅で浮かべながら、銜えたそれを限界へ追い上げてやる。
少し刺激を与えてやると、彼の性器は身震いして直ぐに私の口の中で弾けた。口内に、吐き気を誘う粘着質。今直ぐにでも吐き出したい気持ちを必死で抑えて、嚥下する。髪を優しく撫でられたので顔を上げると、恍惚とした表情の彼がこちらを見つめていた。まるで娼婦かの様に妖しく、優しく笑う。そして私へ、抵抗出来ないあの言葉を囁くのだ。
「…上手に出来たね、ジェレミア。愛しているよ」
あぁ、殿下。私はその言葉の為に生きているのです。










エレジィ























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