かちかち、と電球が摩滅している。今日は仕事で遅くなった、そう思いながら家に戻るとそんな事に気付いた。新しい電球を買ってきておかなければ。そう思ってふと見たら、利家が床で寝ていた。毛布にくるまって。犬の様に。
「……犬か」
思わず声が出た。隣まで進んでしゃがみ、顔を覗き込む。倖せそうな寝顔で、飯の夢でも見ているんだろうか。…大いに有り得る。はあ、と小さく吐息して肩を揺すった。おい、と声を掛ける。利家は少しの間反応しなかったが、暫くすると眉根を寄せて薄く目を開いた。寝ぼけ眼で辺りを見渡して、俺の顔を見つけると不思議そうな表情をする。
「…もとちか…?」
「何処で寝てんだよオメェは、風邪引くだろうが。きちんと蒲団敷いてそこで寝ろ」
「うん〜…」
頷く様にそれだけ返すと利家はまたうとうとと目を閉じようとする。こら、ちょっと待て。仕方なしと俺は無理矢理利家の体を起こした。利家はまた、ぼんやりと目を開く。少しだけ眉根を寄せていた。
「蒲団敷いてやるから、そこで、寝ろ」
殊更強調する様に言うと利家が小さく頷いた。はあ、と二つ目の溜息。利家をそこに座らせたまま、部屋の隅に畳んでおいた蒲団を広げる。利家の方を振り返ると、あいつは座ったまま目を閉じて眠っていた。器用な奴だ。しょうがねぇな、と小さく呟いて利家の両脇に手を通し、引きずる様に蒲団の上へ移動させる。寝かせてやれば利家は一度寝返りを打ってから枕を抱き寄せて眠り出した。その上に先程の毛布を掛けてやる。手の掛かる奴だ、と思った。そこがまた、愛おしいんだが。…って俺は何を。そんな思考を打ち切って、俺は風呂に入る事にした。腹は減ったがまずはさっぱりしたい。そういえば利家は飯を食ったんだろうか。今日は遅くなったのに。
「……元親ー…」
ネクタイを外し掛けて聞こえた声に振り向くと、最初と同じみたいに毛布にくるまった利家がうっすら目を開けていた。少しでも気を抜けばまた眠ってしまいそうな。俺と目が合って、少し笑った。
「おかえり」
それだけ言うと、じゃあ、おやすみ、と零して利家は目を閉じた。また直ぐに聞こえてくる寝息。なんだ、そんな事言う為に起きたのかオメェは。畜生、少し嬉しいじゃねぇか。近付いてしゃがみ込んで、さっきみたいに顔を覗き込む。
「おやすみ」
額に軽くキスを落としてそれだけを言った。さぁ、風呂に入ろう。

(あぁ、明日は電球買ってこなきゃな。)










夜はお静かに





















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