蛍が飛んでいる。
あかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくてあかくて。
どうしようもなく赤くて紅くて朱くて赫いあいつが倒れている。頭から首から腕から胸から腹から足からすべてから血が、血が、血が。あふれて。あいつの蒼い服は真っ黒に染まっていた。頭に殴られた痕がある腕に斬りつけられた痕がある胸に突かれた痕がある腹に切り裂かれた痕がある足は片方何処行った?
それはもう、人じゃなくて、只の肉塊だった。
「…あ、あ、ああ、ッ、ああ、ああぁ、あああ!」
ああ言葉にならない言葉にならない何を言っているんだ何を言おうとしているんだ何が言いたいんだ何を言うべきなんだ!近付くと、政宗から溢れた真っ赤な血がぴちゃりと跳ねた。触れる、指に血が着いた。舐めてみた。血の味がする、死の味がする。

政宗は死んでいる。どうしようもなく死んでいる。終わっている。

何があったのかなんて一目で瞭然。戦だ。それしかないじゃあないか。共同戦線、お前は東へ俺は西へ。指示したのは政宗だった。彼を抱えてみる。魂一つ分抜けた体は軽かった。易々と持ち上げる事が出来た。そして、某は、初めて、
政宗を、抱きしめた。
抱きしめられることはあっても、抱きしめることはなかった。気恥ずかしくて、照れ臭くて、なんだか、甘酸っぱい後ろめたさを感じていて。
「……っ、」
涙が零れる頬が熱い某は泣いているのか当然かもしれないだって政宗が死んでいる徹頭徹尾死んでいるもう笑わないもう怒らないもう悲しまないもう動かないもう愛してると囁かないどうしようどうしようかなしくてかなしくてしかたないさびしくてさびしくてしかたないくるしくてくるしくてしかたないだってまさむねおまえをあいしていたのに。
ふと目を上げた。何かに呼ばれた気がして。けれどそこには誰もいなかった。
蛍が飛んでいる。










僕は初めて君を抱きしめた。






















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